2024年4月1日から2025年3月31日に至る第72期の事業報告書をお届けするに当り、平素のご支援、ご愛顧に対し厚くお礼を申し上げます。
当事業年度におけるわが国の経済は、長きにわたったコストカット型経済から脱却し、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へ移行の動きが見え、持ち直しが期待されたものの、内需は力強さを欠いたまま推移しました。
当社の主要顧客先である鉄鋼業界におきましては、国内・海外ともに製造業・建設業が低迷し、世界鉄鋼需要は未曾有の危機的な状況が継続する中、2024年度の国内粗鋼生産量は8,295万トンとなり、前年度に比べ4.5%下回り3年続けての減少となりました。
当事業年度の業績につきましては、コークス炉機械工事を主体とした建設工事の着実な実行管理を行いつつ、設備保全工事においても売上を確保し、年間売上高としては、過去最高の451億8千2百万円を計上することができました。
利益面につきましては、物価高騰等の事業環境の変化に対してコスト管理を強化し、経常利益39億3千5百万円、当期純利益28億7千2百万円を計上することができました。
世界経済は、地政学的リスクの顕在化やインフレ及び金融引締めの長期化等の影響により、低迷した状況が続いております。鉄鋼需要も未曾有の危機的状況が継続し、中国国内の需給ギャップ拡大を受けた過剰生産・輸出増加も加わり、鉄鋼マーケットは改善の兆しが見られません。今後は各国における通商措置に加え、米国関税政策等が世界経済に大きな影響を及ぼし始めており、より一層厳しい事業環境に陥ることが想定されます。
このような変化の過程において、変化の本質や影響度合を俯瞰的に捉え、柔軟性とスピード感をもって進むべき方向性を判断・選択していくことを強く意識すべく、2025年のスローガンを、”「Challenge for the Next」変化を成長のチャンスとしよう!”としました。確固たる「安全・環境・防災・品質・コンプライアンス」で信頼されて、次代も前進するための「採用・育成・定着」を基軸とした運営で一人ひとりが活き活きと活躍できる会社を築いてまいります。
まず、安全につきましては、「安全に強い人づくり」と「安全な仕組みづくり」を両輪とした安全活動を実施し、リスクアセスを強化しながら安全な施工サイクルを愚直に実践し、安全に強いスガテックファミリーの構築に向けて注力してまいります。また、近年の異常気象や地震多発などを踏まえて、環境・防災への意識を一段と高め、基盤的な部分をレベルアップしていきます。
社内及び協力会社の世代交代が加速していく中で、大型工事の確実な実行を可能とする「工事する力」、設備安定稼働と更なる効率化を目指す「整備する力」、生産設備構造改革や競争力強化に資するEPC(エンジニアリング・調達・建設の一括契約)の推進による「お客様への提案力」の3つの基本課題の強化を引き続き進めてまいります。昨年4月に開設した技能研修センターでは、技能職の更なるレベルアップと専門性のあるプロフェッショナルの育成を図り、全社の技能レベルの発展に繋げていきます。また、事業環境の変化を踏まえて、関東支店では昨年4月より新たに埼玉事業所の新設し、一方で本年3月末を持って千葉工場を閉鎖する組織再編を行いました。
「働き方改革」では、2024年4月から法令化された時間外労働時間の上限規制へ対応すべく、全社を挙げて取り組んできた「働き方改革推進プロジェクト」は所定の成果を挙げて終了しました。その上で、最新のICTやAIを活用するためにシステム部門を強化し、仕事のやり方の抜本的な見直しも含めた広範囲に及ぶ業務の改革を遂行するために、本年4月より業務改革推進部を新設しました。抜本的な生産性向上を達成してサステナビリティ経営の推進に注力してまいります。併せて一人ひとりの知識・技能・仕事力をアップデートし、当社の競争力・共創力を高めていきます。
従来から継続中の当社技術力の柱となる「現場力向上推進プロジェクト」、管理職以外で構成される体制に一新した「みんなの活躍推進プロジェクト」、長く働きたい職場づくりを目標とする「人財育成・定着推進プロジェクト」活動により体質強化に繋げていきます。全社業務改善活動である「ステップアップ活動」は、チームでの多くの工夫や対策の実行過程において、個々人の実務能力の向上や成長が生まれる活動となることを目指します。また、世の中の変化が加速して従来以上にコンプライアンスが重視される中で、信頼される会社運営の大前提となる内部統制・規律向上活動も更に充実させて、会社の「持続的成長」と「発展的継続」をともに実現してまいります。
当社は今後も社会とお客様、協力会社をはじめとするお取引先、株主の皆様及び従業員とその家族から信頼され、貢献できる企業を目指し、鋭意努力してまいりますので、ご理解とご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
2025年7月
代表取締役社長 上野浩光