株式会社スガテック

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株主の皆様へ

2022年4月1日から2023年3月31日に至る第70期の事業報告書をお届けするに当り、平素のご支援、ご愛顧に対し厚くお礼を申し上げます。

 

当期におけるわが国の経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかに持ち直したものの、ウクライナ情勢等による世界的な景気後退に加え円安の影響もあってインフレが大幅に進行し、企業の業況感を示す業況判断指数など一部の指標では弱さが見られました。

 

当社の主要顧客先である鉄鋼業界におきましては、半導体不足などで自動車向け需要が伸び悩んだほか、利上げ等を背景に世界的な鋼材需要の低迷を受けて鋼材輸出が振るわず、2022年度の国内粗鋼生産量は8,784万トンとなり、前年度に比べ8.1%下回りました。

 

当期の大型工事施工実績としましては、日本製鉄株式会社名古屋製鉄所殿3高炉改修工事並びに同関連工事を昨年8月に竣工することができました。

 

当期の業績につきましては、一昨年度からスタートした上述の名古屋3高炉改修工事及び同関連工事を、コロナ禍の最中で細心の注意を払いつつ全社を対象とした要員応援による工事運営で無事完工したことで、下期からの設備工事案件の端境期による売上高の減少をミニマム化し、年間売上高は408億4百万円と3期連続で400億円台を確保することができました。

 

利益面につきましても、売上高が減少する中で、物価高騰等の事業環境の変化にも対応しながらコスト削減を着実に実行し、経常利益42億7千7百万円、当期純利益29億4千2百万円を計上することができました。

 

世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢によるインフレの進行や、中国における不動産市況の低迷、欧米での利上げ、物価の高止まり、金融不安などの懸念から停滞状況にあり、世界の鉄鋼需要も現状からの好転が見込めない状況となっております。国内経済も先行きが不透明で予測困難な状態が継続することが想定されます。

当社の主要顧客である高炉メーカーは、厳しい環境が続く中で、従来から取り組んでいる国内製鉄事業の再構築、海外事業の深化、カーボンニュートラルへの挑戦、DX戦略の推進に加えて、川上・川下への事業展開の拡大を目標に掲げて、更なる収益構造の構築による収益向上を指向しています。

 

かかる環境下におけるお客様から当社へのニーズは、工事の安全確保、高い施工品質(工事・整備)、納期の遵守に加え、施工方法・工事効率の改善、及び全社横断でのプロジェクト活動やステップアップ活動を通じた企業体質の強化と考えております。

 

まず、安全につきましては、「管理者の本気度(リーダーシップ)」、「当事者意識(コミットメント)」、「継続的な対話活動(コミュニケーション)」、「安全にコスト投入(リソースマネジメント)」の4要素を強く意識して安全活動を実施しております。今後も「安全に強い人づくり」と「安全な仕組みづくり」を両輪とした安全活動をより進化させて、安全に強いスガテックファミリーの構築に向けて注力してまいります。

 

また、大型工事の確実な実行を可能とする「工事する力」、設備安定稼働と更なる効率化を目指す「整備する力」、生産設備構造改革や競争力強化に資するEPC(エンジニアリング・調達・建設の一括契約)の推進による「お客様への提案力」の3つの基本課題の強化を引き続き進めてまいります。更に当社の人づくりの一環として、新たに愛知県常滑市に用地を確保し、技能力向上のための技能研修センター(仮称)を来年度から設立すべく、鋭意計画・実行中です。

 

「働き方改革」では、2024年問題(建設業に対する時間外労働の上限規制の適用)に対し、長時間労働の抑制、勤務時間管理の強化、業務の効率化・最適配分を短期間で強力に推し進めるために「働き方改革推進プロジェクト」を全社組織として立ち上げました。かねてから取り組んでいる作業の半自動化や機械化、AIを含むIT活用などのDX推進と合わせて、サステナビリティを一層充実させていきます。

 

また、従来から継続中の「現場力向上推進」、「事務管理力向上推進」、「みんなの活躍推進」の3つのプロジェクトを育成の柱として取り組み、全社業務改善活動である「ステップアップ活動」で一人ひとりが自分自身を磨きつつ、コロナ禍で拡充されたWeb会議と、面着会議を織り交ぜたハイブリットによる対話を行い、箇所・部署間を超えた社員の相互連携を強化していきます。信頼される会社運営の大前提となる内部統制・規律向上活動も更に充実させて、会社の「持続的成長」と「発展的継続」をともに実現してまいります。

 

高炉メーカー殿の上工程大型工事発注は端境期にあたり、第71期の当社の収益につきましても、減収減益が見込まれますが、足元の受注活動と要員調整に注力していきます。

今年のスローガンとして、「『信頼と技術を未来に繋ぐ』できることから一歩一歩進めよう」を掲げ、上記に申し上げた各種施策を社員一丸となって推進してまいります。

当社は今後も社会とお客様、協力会社はじめとするお取引先、株主の皆様及び従業員とその家族から信頼され、貢献できる企業を目指し、鋭意努力してまいりますので、ご理解とご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2023年7月

代表取締役社長 上野浩光